建築

建築会社の点検、ちゃんと把握してますか?

こんにちは。ターねこです。

お家を建てようかな。というとき、あなたはどこを重視して建築会社を選んでますか?設備?デザイン?価格?ネームバリュー?ハウスメーカー?地元の工務店?

色々ありますよね。ターねこはメンテナンス、アフターフォローをしてるので、どうしても建てた後の対応が気になります。

そこで今日は点検のお話をしようと思います。

点検の種類

新築の定期点検、古くなったお家の点検、動作不良時の点検、表現は違えど、このような感じだと思います。

新築の定期点検

点検と言ったら一般的に思いつくものですね。お家を建てたハウスメーカー、工務店が基本無償で行う点検です。点検、メンテナンスは基本無償ですが、お客様の過失による不具合や損傷は有償となります。有償無償の判断は、各社大方の基準はあるものの、基本点検者の判断になることが多いです。

ハウスメーカー、工務店の点検時期や期間などを見ていきましょう。

ハウスメーカーの無償定期点検例

A社:6ヶ月、2年目、5年目、10年目

B社:3ヶ月、2年目、5年目、10年目、以降5年ごと無償点検を行い60年まで延長可能、ただし10年目以降規定の有償メンテナンスを行うことが無償点検の条件

C社:6ヶ月、1年目、2年目、5年目、10年目、以降5年ごと無償点検を行い30年まで延長可能、ただし有償メンテナンスを行うことが条件

D社:3ヶ月、6ヶ月、1年目、2年目、5年目、10年目、以降5年ごと無償点検を行い10年ごと更新30年まで、ただし10年ごとの有料メンテナンス契約終結が条件

E社:1ヶ月、6ヶ月、1年目、2年目、5年目、10年目(10年以降は内容によって)、15年目、20年目(点検は有償)、以降5年ごと無償点検10年ごと有償点検、延長上限なし、ただし20年目以降は10年ごとの有償点検、メンテナンスが条件

ポイント

長い期間点検を行うものの、10年以降無償点検を受けるためには、有償メンテナンスを行うことが条件の会社が多い。各社条件が細かく決まっているため、きちんと確認することが大切。想定外の出費が必要になることも。

地方工務店の無償定期点検例

A社:3ヶ月、6ヶ月、1年目、2年目

B社:3ヶ月、6ヶ月、1年目、2年目、大手メーカーのリフォーム部門に登録

C社:1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年目、2年目、3年目、5年目、7年目、10年目

ポイント

基本期間短めが多いが、10年以上経過しても相談は可能で、その時に相談のみで費用のかかることは稀である。工務店側からの定期的な訪問は少ないが、相談すると対応してもらえる。ただし、点検とは違うので顕在化している問題のみで、潜在化している問題には気づくことが難しい。また、大手メーカーのリフォーム部に登録しているところもあるので、注意が必要。メーカーが動くと、費用が発生することがほとんどなので、建てた工務店に確認しておいた方が良い。

番外編

ターねこ:6ヶ月(例外あり)、1年目、2年目、3年目、5年目、7年目、10年目、10年目以降10年ごと有償点検、期限なし、有償メンテナンスを行うなどの条件なし、メーカー・業者が動かない限りメンテナンス料基本ゼロ円、7年目以降はドローンによる屋根点検あり

並べてみてみると、ターねこの内容は結構良いですね(笑)

因みに、6ヶ月に例外ありと入っているのは、建てて半年くらいは、何かあると建築会社に連絡を入れるお客様がほとんどだからです。メンテナンスが6ヶ月まで終わっておらず、点検の必要がない場合などです。

まとめ

ハウスメーカーと地方工務店を比べると、ハウスメーカーの方がアフターフォローの体制が整っています。ただ、有償メンテナンスを行うことが条件となっていたり、建てた時に数百万のメンテナンスを15年以内に行うなどの契約を結ばされたなどの話を耳にしています。メンテナンスに関しては、画一的なマニュアルは作れないというのが、多くのメンテナンスをさせて頂いている私の見解です。建てた土地、気候、災害など様々な要因でお家の状態は変わります。メンテナンスの内容、時期は、本当にその家その家で全く違ってきます。建てた時点で期限を決めて数百万もの費用をかけることを契約させるというのは、正直ちょっと理解できません。建てる前にしっかり調べて置くことをオススメします。

古くなったお家の点検

ハウスメーカーと地方工務店との違い

ハウスメーカーでは10年目に有償のメンテナンスを行うことで、それ以降も点検を受けることができます。しかし、地方工務店で10年以降の点検を行なっていることは稀です。メンテナンスを行う部署を設けている工務店でも、お客様からのご連絡への対応に追われており、そこまで手が回らないというのが現状です。

逆の視点から見ると、10年目以降に点検を行うと、まず何かしら問題が出てきます。そこで有償のメンテナンスを勧められると思います。もしかすると、まだ必要のないレベルのものもあるかもしれません。9年目の点検まで何も言ってこなかったのに、10年過ぎたら色々急に言ってきたという話も聞いたことがあります。ただ、老朽化は同時期にくるものが多いのも事実で、一概に儲け主義で勧めてきているとは言い難いです。

その点、地方工務店だと、不便になった時や、経済的にゆとりがある時に連絡を入れるなど、お客様自身のタイミングでメンテナンスの依頼ができます。押し付けられる感覚は少ないと思います。ただ、メンテナンスが必要な状態を放置し過ぎて、余計費用がかかるということはよくあることですので、その点は注意が必要です。

私の場合は、急にせざる得ない大きなメンテナンス(塗装など)が発生することは少ないです。築何年ぐらいになるとどこどこの不具合が発生しだします。とか、10年を超えるぐらいからは塗装を意識しといてください。など、1年目や2年目の点検時から、何度となくお伝えしています。時期、内容と一緒にどのくらいの費用が必要かもお伝えしています。計画的にメンテナンスを行うことで、お家を良い状態に保つことは当然なのですが、経済的にも安心して生活できるようサポートさせて頂いております。

飛び込みの点検・営業

お客様で実際にあった話です。

年配の方がお住いの陶器瓦のお家。瓦がズレているということで屋根に上っていったそうです。そして、瓦を数枚持っておりてきて、これはすぐ修理しないといけないと話したようです。その業者さんは見積も出さずに、今ならすぐ足場が組めるからと、次の日に足場を組もうとしていました。たまたま娘さんが足場を組むところにいらっしゃって、おかしいと私にご連絡いただきました。すぐにうちの屋根屋さんと訪問して調べて見ると、その飛び込みの業者さんが指定した場所は問題なく、業者さんの足跡あたりで割れている瓦があったり、その辺りの瓦が抜き取られていたりと、ちょっと信じられないような状況でした。

全ての飛び込みの業者さんが、このような業者さんという訳ではありません。しかし、このような可能性が少しでもある限り、飛び込み業者は屋根に上げない方が無難だと思います。

瓦が割れてます。瓦がズレてます。などと飛び込みで来る業者さんがいます。無料で屋根に上って点検してあげますよ。などと提案して来ると思いますが、むやみに屋根に上らせないようにしましょう。

塗装

年配の女性がお一人でお住まいになられているお家。屋根材はコロニアル。近くのお宅で塗装をしていた業者さんが、塗装をしている屋根から見ると、お客様の屋根がもう塗装時期を過ぎていてる。と言ってきたそうです。ご近所さんも頼んだところだし、大丈夫だろうとお願いしたそうです。ところが、塗装後3年ほどして車庫がひどい雨漏り。私に相談がありました。

屋根を点検して見ると、屋根のところどころにヒビが。塗料があっておらず、屋根材を保護するはずの塗料が役目を果たしていません。それどころか逆に悪影響を与えてしまったようです。慌てて住宅の方も見てみたところ、こちらも亀の子状に亀裂が入っており、既に完全に割れてしまっている屋根材も何枚もありました。

結果、築20年経過する前に屋根の葺き替えをしなければならない事態に。

うちの事業が立ち上がる前の話で、もっと早く事業を立ち上げていれば!と、心から悔しかった事例です。ホント人の良いおばあちゃんなんですよ。

塗装は本当に誤魔化しのきく工事です。塗り方、塗る回数、塗料すり替えなど、いくらでも安くする方法はあります。塗装に関して相当な知識があり、施工時ぴったり張り付いてみておける環境にある方以外は、塗装で飛び込み業者に頼むのは避けた方が良いです。私だったら怖くてできません。

飛び込み業者による被害は少なくないので、注意喚起の意味でまた記事をアップしていく予定です。上の2例とも画像もありますので、別記事で詳しくお伝えします。

動作不良時の点検

お客様からハウスメーカー、工務店にご連絡いただき、訪問して行う点検です。厳密に言うと点検というのかは難しいところです。不具合調査と言ってもいいかもしれません。

点検内容

これは各社それぞれ設定しております。それぞれをご紹介することは、現実的に不可能ですので、ここでは私ターねこの定期点検内容をご紹介します。

定期点検内容例:ターねこの場合

弊社のお客様には、長期優良住宅の認定を受けているお家も多いです。長期優良住宅で認定を受けるには、維持保全計画というものが必要になります。地方公共団体によって変わってくるのですが、維持保全計画の実施(維持保全点検)を行なった結果を提出してください。と役所より封書が届くことがあります。そのため、弊社では全て同じ形式の書面で履歴を残しています。

定期点検項目

基本的な点検項目はこんな感じです。これにそのお家独自の設備などを備考に記載していきます。例えば、太陽熱利用空調・お湯取りシステム『OMソーラー』や全館空調システム『パッシブエアコン』などの動作確認などです。

上の点検項目は半年点検用項目です。

こちらは10年以降の点検項目です。半年用と比較するとかなり項目が増えています。

定期点検の流れ

【1】日程調整

普通の日程調整です(笑)

【2】訪問:内装補修

弊社の場合、パートナーの内装屋さんと一緒に訪問します。木造住宅の場合、最初の2年ぐらいは材木の収縮が発生します。これはどうしようもないことなのですが、その収縮により部屋の入隅や壁と天井の間、サッシ周りなどに小さな隙間が生まれます。これは材木の状態によりますので、隙間の出方は様々です。たくさんの箇所で出るお家もあれば、ほとんど出ないお家もあります。ただ、9割以上の確率で出るので、弊社の場合、最初から内装屋さんを同行させています。

内装屋さんと一通り室内を見て回り、隙間の大きさによって今回の点検時に行うか、どのような補修方法にて行うかを打ち合わせます。

方針が決まれば、補修は内装屋さんにお任せします。

気になる隙間は事前にチェックしておいて、点検者の訪問直前に付箋などを貼っておくと、点検者のチェック漏れを防ぐことが出来ます。

【3】訪問:ヒアリング

部屋の隙間の補修を内装屋さんに任せている間に、お客様から気になっているところをヒアリングします。

リビング入口の建具の動きが悪い、床鳴りがする、タイル目地が剥がれている、収納扉が閉まらないなど、本当に様々な内容のメンテナンス内容が発生します。

内装と同じで、こちらも気になるところはメモを取っておくことをオススメします。どんな些細な箇所でも点検者に聞きましょう。不安は全て取り除きましょう。

ヒアリング内容をお客様と一緒に確認していきます。この時、お客様から指摘されなかった建具、サッシなどの動きについても同時に確認していきます。順序はまちまちですが、室内が終われば、外や小屋裏なども同様に点検していきます。ヘアークラックなど、構造上問題ない点も、お客様に説明していきます。

【4】訪問:補修

確認後、私で補修可能内容であれば補修します。建具の動きなど、軽微なものについては私で完了します。

専門性の高い内容については、後日専門家を連れていき補修となります。

【5】完了

全ての補修が終わって完了です。

点検時間に関して、点検当日は平均1時間前後で終わるのですが、その後のメンテナンスで結構な時間がかかる場合も多いです。

最後に

10年保証

明らかなお客様の過失による不具合で、

「10年保証なんだろう!ただで直してくれよ!」

というお客様が時々いらっしゃいます。

このお客様が仰る『10年保証』というのは、2000年に施行された住宅の品質確保に関する法律により、新築住宅の基本構造に関して、ハウスメーカーや工務店が瑕疵担保責任を10年間負うことを義務づけられていることを指していると思います。

この保証のことを瑕疵保証(住宅瑕疵担保責任)と言います。

しかし、この瑕疵保証、かなり限定的です。基礎、柱、屋根など、構造耐力上主要な部分や雨水の侵入を防止する部分の欠陥が対象です。

ハウスメーカーや工務店に関しても、住宅瑕疵担保責任については、保険や供託の措置をとることを義務付けられています。その措置をとるためには、建築中から現場の検査を段階的に行わなければなりません。そのため、瑕疵の起こる可能性はかなり低くなっています。

実際、私は今まで瑕疵保証が適用された事例に出会っていません。

お客様で、屋根の部分を住宅瑕疵担保責任保険を使って修理をした。という話は耳にしたことがありますが、そのお家も築15年以上のお家で(住宅瑕疵担保責任保険制度が固まる前で、建築中の検査基準が甘かった可能性が高いです)、私のお客様の中の確率で言うと0.1%以下になります。

これからの建築技術の向上、建築時検査精度の向上を考えると、『10年保証』のケースは今まで以上に起こりにくくなっていくと考えられます。

まとめ

点検種類、内容などを見てきました。正直なところ、各ハウスメーカー、工務店バラバラです。ただ、大まかな雰囲気は感じていただけたのではないでしょうか。

これを読んだ方が、お家を建てる時に、少しでも『点検』という部分に目がいってもらえたら嬉しいです。

ターねこ
ターねこ
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。